· 

辨財天御一行さまのお引越し。

コロナの影響でなかなか外に出ることが少なくなってきました。

そこで堂内や須弥壇上のお掃除、また法具の制作などを行ってきました。

 

そしてこれまでほとんど触ることをしてこなかった山門すぐ脇の辨財天堂も掃除することにしました。

 

が…

 

辨財天堂は電気も通っておらず、堂内も古くていたたまれなくなり。

思い切って辨天さま、並びに大黒さん、布袋さんに法堂内に引越ししていただくことにしました。

 

掃除しながらお身拭いしながらのお引越し。

2時間ほどかけて終了です。

 

 

法堂内に移ってこられた辨天さまたち御一行さまですが、よくよくみてみるといちばんの本尊さんである辨財尊天の名前札には『準弖(三水に弖)大聖隻身合体尊天』の文字が。

 

これは。。。

准胝觀音のこと??

 

 

一般に准胝觀音は十八臂のお姿が多く、また宝具を持っておられるのが多いのですが、この名札の脇には左右それぞれに『難陀龍王』『跋難陀龍王』の文字が。

 

 

また禅宗と准胝観音の縁は深く、また水の神である辨財尊天と龍王兄弟を侍者に従える准胝観音を同格と見て祀られたのかもしれない。

准胝觀音は元はドゥルガーというヒンズー教の女神で、武器を取り魔族を討ち果たしたという戦いの女神。

武器を持つ辨財尊天と類似点はあります。

 

長松院の辨天さまは琵琶湖にある島の辨天さまと関係が深いらしく、どうやら長松院の歴住の誰かが点眼(お性根入れ)をしたと弁天記に書かれているそうです。

 

ということで、准胝観音としてお祀りすることにいたしました。

准胝觀音さまは美しいそのお姿から觀音ではなく仏母であるとされることもあります。

そのためご利益は、修道者守護、無病息災、延命長寿だけにとどまらず、安産や子供が授かるなど母性慈愛に満ちたもの。

 

これからも辨天さまたちと一緒に長松院を見守ってくださいね。

 

現在、弁天堂に幕などを張ってもう少しそれらしくしようかな、などと画策いたしております。

またアップします。

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    小池一介 (金曜日, 25 9月 2020 01:16)

    これは難しい。私が見たところ、脇に聖天様がおられることで、聖天様がどういういきさつで来られたのかわかりませんが、聖天様は、必ず十一面観音様とセットでお祀りすることになっています。これはもとは強大な力を持つ悪神であった聖天様を十一面観音様が改心させて善神に改心させたことになっています。そこで、同じ六観音のうちの准てい観音様をあてたのではないかな?と思います。日本の弁天様は金光明最勝王経にあるように、八臂(八本の腕がある)がそれぞれ矢、カギ、ほこ、マニ宝珠、剣、輪宝、宝杵、弓を持ちます。その多臂のお姿がドゥルガーとも共通する。ドゥルガー神はブラフマー、ビシュヌ、シヴァの三神がすべてのシャクティ(神々の力)を注ぎ生まれました。そのドゥルガーは、すべての他の神々がことごとく打ち負かされ、誰もかなわなかった悪の最強の神マヒシャー(牛の姿の悪神)と戦い続け、ついに世界を救います。そのドゥルガーが仏教では今回の観音様になっています。真言宗・天台宗のほうでは六臂の如意輪観音様は六つの観音様に通じるとされているので、聖天様をおさえこみ暴走させないのは、十一面観音様でなくとも、他の観音様でも功徳は同じと考えたのでしょう。竹生島にも法巌寺には千手観音様が祀られており、弁才天様と千手観音様の縁は深く、同一視する傾向も昔はあったようです。ドゥルガー神はインドにおいても摩利支天様(マリーチ)としばしば同一視、混同されています。こちらも『矢を射るように、構えた時にすでに的はわが心にあり、射る前から、すでに当たっている』と禅宗のほうではすみやかに悟りへ導く守護善神として考えられています。

  • #2

    山主 (金曜日, 25 9月 2020 05:34)

    小池先生。
    いつもありがとうございます。
    なるほど、そういう逸話、歴史があるのですね。
    十一面観音は確かにお祀りされてはおりますが、一緒に安置はされておりませんでした。
    おっしゃるように、准胝観音と同一視することによって暴走を防ぐ意味合いがあったのかもしれません。
    全くこの准胝觀音は不思議です。
    今度来山された際にはどうぞ手を合わせていかれてください。
    25日にまたお会いできることを心より楽しみにいたしております。