大震災、それに関連する飛行機事故と、のどかなお正月というわけにいかなかった新年の幕開け。
それがどこであったとて祖国日本、同胞兄弟の暮らす国。
大事なことに変わりはありませんが、能登には曹洞宗の大本山『總持寺祖院』があります。
元々は輪島にあった總持寺は、明治31年の大火により布教の中心を横浜市鶴見に移転しました。
そしてもとあった場所に祖廟として堂宇を再建。
我々は大本山總持寺を『鶴見』、總持寺祖院を『祖院』と呼び、どちらも曹洞宗の本山として長くお護りして参りました。
実は祖院の被災は今回だけではありません。
平成19年3月25日に発生した震度6強の「能登半島地震」により甚大な被害を受けた祖院は、全国の宗門寺院及び檀信徒の皆さまの協力のもと、14年に亘る耐震保存復興修理工事を経てようやく令和3年、落慶を迎えたのです。
昨年祖院で営まれた江川禪師の小祥忌法要に随喜する機会がありまして、私も参拝させていただきました。
その時には「ああ、立派に修復したんだなあ」と万感胸に迫る思いでした。
しかし、今回の大地震。
見るも無惨な状況に言葉になりません。
何かすることはできないか。
そう考えた末、やはりサステイナブルな募金以外にないのではと思い至り、無理のない範囲で私ができることを考えました。
そこで出た案が御朱印です。
これまで三種類あった長松院の御朱印ですが、今年から月替わりに変更し、お納めいただいたお金とお賽銭を能登の復興に寄付することにいたしました。
大きな金額にはなり得ないかもしれませんが、無理なく長く続けられる方法が良いと考えたのです。
1月は文珠師利。
本尊様より大きい姿のお文珠様は言わずと知れた知恵の仏。
2月、3月に受験を控えているため、お札も求められる方が多いです。
学業成就を願い、お書きいたします。
2月は井伊直政公御舊跡。
長松院墓地を守っておられるは、彦根藩初代井伊直政公。
その直政公のご命日2月1日に合わせて2月は直政公の御朱印にします。
左上に貼ってあるのは長松院マスコットキャラクターのなおまさくん。
数が限られておりますので、無くなり次第終了です。
なお、なおまさくんは数種類います。
欲しい方はおっしゃってくださいね。
3月は正覺殿。
正覺殿とは長松院の法堂、つまり本堂の名前。
江戸後期の禅僧、千丈実厳禪師の書いた扁額が法堂入口にあります。
正しく覚りを開く御殿、というような感じでしょうか。
4月は摩利支尊天。
安田靫彦画伯の描いた摩利支尊天は長松院の守本尊の一つですが、その姿を御朱印のハンコとしてお作りしました。
武芸上達だけでなく交通安全などのご利益もある神様です。
合わせてお札もご一緒にいかがでしょう?
5月は地蔵大士。
大士とは菩薩の別称。
長松院にも昔からお地蔵さんはおられますが、この地蔵大士は昨年合併した寶林斎よりお連れしたお地蔵さんのこと。
そのお地蔵さんの歴史は寶林斎よりも遥か古く、ほとんどが鎌倉、室町時代のものであり、その中には平安時代、あの藤原定家が創置したとされる千体地藏三体がおられるとされています。
子安地藏として親しまれてきたお地藏さんの御朱印です。
6月は烏枢沙摩明王。
東司の神様で、後ろに背負う憤怒の烈火で不浄を焼き尽くすとされます。
長松院ではかなり昔から外の東司に祀られておりましたが、この度皆様のお使いいただく東司に鎮座いただきました。
特に6月の6の付く日は烏枢沙摩明王に紫陽花のおまじないをすることで下の病気にかからないと言われます。合わせて烏枢沙摩明王のお札もお勧めします。
7月は千体阿弥陀仏。
蜂須賀家7代目当主蜂須賀宗英公養女元姫の菩提を弔うために金子百両と千体阿弥陀如来を寺に寄贈されたと寺の記録には残っております。
秘仏であるため公開はしておりませんが、その千体阿弥陀仏を御朱印にいたしました。
本朝自走車の祖、という平石久平次時光翁。
久平次翁は彦根藩の奉行職にありながらその溢れる才能は各方面に際立ち、特にフライホイールに取り付けたクランクペダルを採用した乗り物は自転車心臓部の開祖とも言える人物。
境内には翁の墓もあり、彦根だけでなく日本の、いや世界の偉人として称えるべき人物であると考えます。
9月は辨財尊天。
琵琶湖に浮かぶ弁天さんの開眼をしたのが長松院歴住の一人で、恐らくそこからの分祠であろうかと思われます。前田慶次郎が書いた『前田慶次郎道中日記』にその弁天さんについて記述があるとか。
今はその弁天さんは他の六福神の到着を本堂で待っており、現在では『大黒さん』『えべっさん』『寿老人』『准胝觀音』『布袋さん』の六福神で、最後の一柱を待っている状態です。
女神なので朱色にしています。
お札もございます。
10月は韋駄尊天。
足の速い神様で知られていますが、実はスポーツの神様としても霊験新たか。
改修した玄関に鎮座ましましておられます。
11月は寶林觀音。
合併した平田・寶林斎の本尊さまの御朱印です。
交通の要所にあった寶林斎では、旅人の安全を願って十一面観音像を安置したとされ、以来交通安全の仏様として地元の人々に親しまれてきました。
12月は長松院御本尊であられる釈迦牟尼如来。
12月8日は成道会、お釈迦様が覚りを開いたとされる日。
それにちなんで釈尊の御朱印にいたしました。
また紺紙に金泥で書く特別朱印も鋭意製作中。
こんな感じ。
御朱印は300円、特別朱印は500円です。
決して上手な字ではありません。
しかし、能登の復興を心から願い、一生懸命お書きいたします。
ご希望あれば郵送も致します。
少しでも復興の支えになることを願ってやみません。
皆様の温かいご協力をよろしくお願いいたします。
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